被災地の災害廃棄物、京都府内の7市町「処理に協力」
(2011年6月11日 朝日新聞)
東日本大震災から11日で3カ月。被災地には、なお大量の災害廃棄物が残る。国が処理の協力を呼びかけ、京都府内では京都市や舞鶴市など5市2町が受け入れに前向きな姿勢を示す。市民の間には、復興支援への理解と放射性物質への不安が入り交じる。
環境省の推計では、震災で出た建材や家具、家電製品などの災害廃棄物は岩手、宮城、福島3県で約2500万トン。阪神大震災の時の約1.7倍に及ぶ。国は2013年度末までに最終処分する方針で、全国の自治体に協力を要請。これまでに約520の市町村・広域組合が受け入れを前提に回答したという。
京都府内では京都市、舞鶴市、福知山市、亀岡市、伊根町、船井郡衛生管理組合(南丹市、京丹波町)が表明。同組合は「ダイオキシン問題で焼却施設が使えなくなった時、周辺自治体に支援してもらった。今度は協力する立場」と言う。
「行政は情報をきちんと開示してほしい」。京都市の焼却施設「東北部クリーンセンター」(左京区)の2キロ南に住む男性(70)は不安を募らせる。「復興支援には協力していくべきだ。ただ、放射性物質が広範囲に飛散する中で、廃棄物の焼却によって健康に影響が出ないか心配だ」
京都市は環境省に対し、1日あたり生ごみ185トン、家具類15トン、年間では最大5万トンの受け入れが可能と答えた。市環境政策局の担当者は「大規模な処理施設をもつ政令指定市が協力しなければ、処理は追いつかない」と話す。
ただ、地元以外の廃棄物を受け入れるには、処理施設周辺の住民の合意が必要だ。市には今月9日までに市民から約490件の意見が寄せられ、大半が放射性物質への懸念の声という。市はホームページに「放射性物質に汚染されている恐れのある災害廃棄物は当面の間、移動、処分を行わない」とする国の方針を示し、対応に追われている。
一方、国への回答を見合わせた乙訓環境衛生組合(向日市、長岡京市、大山崎町)。「そもそも国は搬入方法や量を示さない。住民の理解を得ようにも説明の材料がない」と戸惑う。
亀岡市には先月、環境問題などに取り組む市民団体「亀岡夢咲くネット」のメンバーが訪れ、放射性物質に汚染された廃棄物は受け入れないよう要望。応対した湯浅敬三副市長は「廃棄物の受け入れを決めたわけではない。放射性物質の扱いは国が判断するだろう」と述べるにとどまった。
団体代表の村山起久子さん(51)は「がれきに含まれる放射性物質は微量でも、大量に燃やせばちりとなって大気に広がる。復興支援では、支援する側の安全確保も欠かせない」と話している。(堀田浩一)